和紙を張り込む・本襖を作りませんか?

大福帳「襖はすぐに破れる」と言われます。しかし、そういわれる襖は、近代作成されるようになった「簡易襖」です。昔ながらに作られる本襖は、何重にも和紙を重ねて作成されており、自然調湿をし、和紙の風合いを醸し出します。 当店ではお客様よりご希望があれば、今も昔ながらの本襖を作成しております。

骨地となる襖骨は、金物などは一切使用せず「竹釘」で組まれています。本襖の骨にも種類があり、三分子骨、四分子骨…、力子入りorなし…など、設置されるお家に応じて、またお客様のご要望に応じて襖骨の提案をさせて頂きます。

〜桂離宮の本襖は「十二遍張り」〜

桂離宮「襖といえば桂離宮」と言われる方が多いかと思います。藍染奉書紙(紺色の和紙)と越前奉書紙の白い市松の襖。当然のことながら、あの桂離宮の襖は「本襖」です。越前奉書紙を使用し、紙は張替の際に漉き返し(張られている和紙を再度染色して、もう一度紙漉をする)をして修復がされています。「和紙」と「組子骨」で作成された襖は、「数百年使用可能」と言うことも証明済みです。

「十二遍張り」とは「和紙が十二重になっている」と言うこと。楮和紙が十二重にもなっていると、よほど鋭利なもので刺すなどしなければ破れることはありません。

令和元年に「5室37面」の張り替えがされたそうです。詳しくは「宮内庁京都事務所 年報1 令和元年度」をご覧ください。
https://kyoto-gosho.kunaicho.go.jp/report *P23〜

本襖の作成工程

*使用する和紙などは、地方や地域によって、また職人により異なります。

1.襖骨を整える

襖骨を整える竹釘を沈め、襖骨を整えます。

2.骨縛り

骨縛り楮和紙などの強い和紙を張り、襖骨(組子骨)を締め付けてガタつきがないようにします。

3.胴張り

名塩和紙襖骨(組子骨)が表面から透けないように、また「虫除け」のため土が漉き込まれた「名塩和紙」を張ります。

4.簑掛け(簑張り)

簑掛け(簑張り)手漉楮和紙や大福帳など100年以上経過した「反古紙」をロール状にして、その和紙をずらしながら重ねて蓑虫の巣のように張ってゆきます。

簑掛け(簑張り)に使われる使い古しの楮和紙(大福帳や手紙など)を「反古紙」といいます。古い楮和紙は、和紙特有の伸縮が少なく、また「墨」には「防虫効果」があるため、このような「反古紙」を使って下張りがされます。(和紙は高価であったためと、リサイクルの意味も含まれていたモノと思われます。)小説や歴史上の発見などで「襖から、Aさんの手紙がでてきた!」とあるのは、「反古紙」としてその手紙が使用されたからです。

5.蓑縛り(簑押さえ)

蓑縛り(簑押さえ)簑掛け(簑張り)を押さえるために、楮和紙を張ります。

6.和紙の段差を平坦にする

和紙の段差を平坦にするここまで和紙を張り込むと、襖骨周りに和紙の段差が出来てしまうので、出刃包丁で段差を削り平坦にします。

7.地合わせ *現場にて

地合わせ下張り作業を済ませたら、現場で「地合わせ」を行います。

8.一浮け(1回目の浮け)

一浮け一回目の浮けをします。浮け紙は上張りと下地を離し、本紙の湿度変化に応じた伸縮を分散させ亀裂を防止する効果があります。

9.二浮け(2回目の浮け)

二浮け二回目の浮けをします。

10.清張り

清張り表面をさらに整えるため、上張り(表面に見えるふすま紙)を張る前に楮紙で清張りをします。

11.上張り

上張りふすま紙を張り、縁、引手をつけて現場へ。
縁の上下の角を切り、開口に合わせて建付工事をして納品します。